沢田はむくっと起き上がり、奈緒の腹から枕を抜き取った。
反動で奈緒は仰向けになる。
そこに素早く覆いかぶさった沢田は、こういう時だけ肉食系男子になる。
「いいじゃん、まだまだ独身で」
奈緒は返事をすることができなかった。
声は沢田の中に吸収されてしまったのだ。
沢田と奈緒のネックレスが擦れて、シャラッという音が響いた。
翌朝、例によって熱いコーヒーを飲む二人は、再び作戦会議を開く。
「料理も食べてもらったし、洗脳も続けるし、後はどうしようかなぁ。ね、どうすればいい?」
やっぱり沢田にとっちゃ「知るか」という話だが、人の良い彼は親身に考えてやっている。
「危機感を持たせてみるとか?」
「危機感?」
「そう。誰かに取られる前に、俺がもらっておかないとって気にさせるんだよ」
ほほう、そうきたか。



