「お二人は結婚されてるんですか?」

「私は5年目よ。……子供はいないけど」

 佐和子がそう答えると、彼女に憑いている赤ん坊の霊が泣き出した。

 この子、もしかして……。

「作らないんですか? お子さん」

「作りたいんだけど、なかなかできなくてね。実は一度流産してるし」

 なるほど。

 その時の子供がこの霊というわけか。

「そうだったんですか……」

 奈緒と真琴はしんみりと声を揃えた。

 佐和子の流産は奈緒も知らないことだったのだ。

「奈緒先輩は?」

「あたしは結婚も出産もまだ」

「でも先輩、超美人だし彼氏はいるんでしょう?」

「美人じゃないけど、一応彼氏はね」

 美人じゃないけど、なんて思っていないくせに。

 そこらの芸能人より自分のほうが美人だと思っているくせに。

 奈緒が怒りを覚えたのは、この少し後の真琴のセリフだった。