その週末、奈緒は樹を自宅に呼び込むことに成功した。
料理を食わせて良妻アピール作戦をまだ諦めていなかったらしい。
昨夜は必死に部屋の掃除をしていた。
がさつな奈緒は、人が来るときでないと滅多に部屋を片付けたりしない。
冷蔵庫には今朝買い込んだ食材が詰まっている。
ちなみにメニューは沢田に考えさせた。
今はまだ夕食の時間でもない。
二人はテレビ前のソファでいちゃついている。
チューチューチューチュー……ねずみか!
テレビなんてつけていても見やしない。
俺が消してやろうか。
そう思ってリモコンに指を立ててみたが、スカッと空を切ってしまった。
これだから霊体は不便だ。
「うん。やっぱり似合ってる」
樹は奈緒のデコルテを彩っているネックレスに唇を落とした。
「あはっ、もう。くすぐったいよ」
「くすぐってるんだもん」



