「……というわけで、樹を教育してみることにしたの」
この日の夜、奈緒は沢田とファミレスに来ていた。
「教育……ねぇ」
沢田はドリンクバーのメロンソーダをズルズル飲みながら奈緒の話を聞いている。
「何か作戦考えてよ」
「俺が?」
「だってどう教育していいかわかんないし」
自分の問題を浮気相手に押し付けるなと言いたいところだが、人の良い沢田はう~んと唸りながら何か考え始める。
一方の奈緒は器に残ったトウモロコシの粒を一つ一つフォークに刺して口へ運び始めた。
そのまま2~3分、器のトウモロコシがなくなった頃、奈緒の携帯が鳴る。
「もしもし、樹?」
くしゃっと顔を緩ませ、幸せそうに話す奈緒。
沢田は空になったグラスに新たなドリンクを入れようと席を立った。



