佐和子によると、裏草食系男子は俗に言う独身貴族に甘んじているようなタイプらしい。
キャリアウーマンが家庭に入るのを躊躇しているのと同じような感覚で、現状に満足するあまりに先を望まない。
満足していなくともこんなもんかと諦めてしまう。
自ら動くことを避け、流れに身を任せる。
だから決断力に欠けるのだという。
「うわぁ。ズバリそのタイプかも……」
奈緒は思い当たる節々に落胆した。
思い返せば、奈緒と樹が付き合い始めたのは、肉食系寄りの奈緒が時間をかけて口説き落としたからだった。
普段でも樹はいつもの流れを崩すことを嫌い、毎週同じように奈緒とコジャレた店で外食をする。
現状に満足して先を望まない。
まさに樹だ。
残念だったな、奈緒。
「佐和子先輩、どうやったらそんな彼にプロポーズしてもらえますかね?」



