男のほとんどが「自分からプロポーズしたい」と答えると思っていた奈緒は、資料の結果に樹を重ねた。
結婚に夢を抱きまくっているのは、もはや時代遅れなのだろうか。
生前結婚できなかった俺は、男ながらに憧れがあるのだけど。
ランチが運ばれてきて資料は片付けられてしまったが、佐和子の結婚講座は続く。
「奈緒ちゃんの彼は草食系?」
「違うと思いますけど」
「じゃあもしかしたら裏草食かもしれないね」
裏草食。
新しく紡ぎ出された言葉に、奈緒と俺は首をかしげる。
まあ、俺は彼女に見えていないが。
「裏草食っていうのは、仕事もバリバリやるし彼女も作って見た目は草食ではないんだけど、決断力に欠ける男のこと」
「決断力、ですか?」
「そう。結婚を決めたり、転職を決めたり、人生を揺るがすような大きな決断が苦手なの」



