「どうしたのよ、急に」
近くのカフェで日替わりランチをオーダーして、佐和子はそう切り出した。
奈緒はネックレスに触れながら答える。
「今の彼と結婚したいんです。……けど、彼はあんまり結婚に興味がないっていうか……」
佐和子はふーんと頷きながらタバコに火をつけた。
「自分から結婚してって言っちゃえば?」
考え方まで実に男前。
奈緒は首を横に振った。
「それじゃダメなんです」
奈緒には理想というよりシナリオがある。
プロポーズは景色の良い場所でサプライズ的に行われ、その演出と指輪の美しさに感動の涙を流すのだ。
「絶対言われたいんです。プロポーズって一生に一回の思い出ですから」
佐和子はなるほどねと呟きながらカッコ良く煙を吐いた。
「でもね、できればかしこまったプロポーズなんてしたくないっていう男、結構いるんだよ」



