「あれ、そのネックレス、ダイヤじゃん。ほんと気前がいいよな、アンタの彼氏」
「沢田くんとは稼ぎが違うのー」
「あっそ」
二人が吐く煙は、月曜の気だるさを象徴するようにダラダラと換気扇に飲み込まれていく。
奈緒は最後に深く吸引し、吐きながら灰皿に押し付けた。
「食べてもらえなかった」
煙と共に放たれた言葉は、確実に愁いを帯びている。
「は?」
「料理。外食が好きだから作らなくていいって」
「マジ? つーかそれで機嫌悪いわけか」
沢田もぐりぐりと火を消し、カップに注いだコーヒーをブラックのまますする。
そして一つ息を落とし、首を回しながら言った。
「俺が代わりに食べてやろうか?」
しかし奈緒は手早くリップグロスを塗り直し、
「樹が食べなきゃ意味ないの」
とキッパリ告げてデスクへと戻った。



