夕方、樹が予約していた水槽のあるダイニングバーで食事をした後、二人は車で樹の住むマンションへ帰る。
休日は酒を飲まない主義の樹に合わせ、奈緒も飲むことはしない。
その代わり、前日に散々沢田と飲んでいるわけだが。
モデルルームのように物が少なくきっちり整理された部屋で腹を休めた後、二人で風呂に入り、ベッドへ。
ここでの愛のエクササイズは、極めて事務的に、あっさりと行われる。
奈緒はどうしても、それが不満なのだ。
樹の前ではウブなフリをしている手前、その不満をなかなか言い出せない。
主導権を握ろうとしても、
「奈緒は女の子なんだから」
と、優しくかわされてしまうのだ。
さすがは気持ちを汲めない男。
さしずめ「いつも俺が頑張っているから、奈緒がそれに応えようとしている」とでも思ったのだろう。
主導権を握ろうとしたのはエクササイズの向上を図ったからだとは思いもしない。
沢田の前では猿とも化する奈緒だが、かわされてしまってはどうにもできなくなってしまったのだ。



