樹は苦笑いをして、
「普通そこは元気でね、じゃないの?」
と奈緒を小突いた。
それを合図に、奈緒は
「じゃあね」
と彼の部屋を出た。
季節は梅雨。
外は雨。
奈緒は傘を差し、未来へ向けて一歩を踏み出す。
嫁入り作戦は、一からやり直し。
また相手を探すところからスタートだ。
翌昼、水曜日。
いつものランチの店に、二人の声がこだまする。
「ええぇぇっ?」
目を見開いて直に詰め寄るは佐和子と真琴である。
店中の目から視線を浴びた二人は、声のボリュームを下げて話を続ける。
「別れたって……結婚はどうしたのよ?」
「そうですよ。あんなに張り切ってたのにぃ」
奈緒は苦笑いを浮かべながら、彼女たちに大体の経緯を説明した。



