例えば、純白のウェディングドレス。
髪をアップにして、ティアラを挿し、薄いヴェールをかぶる。
ドレスは磨き続けているボディが映える、洗練されたものを選ぶんだ。
披露宴では必ず深紅のふわふわしたドレスを着ると決めている。
髪はサイドアップにして、キラキラしたゴージャスなピアスをつけるんだ。
インドに行ってしまったら、式はいつになるかわからないけど、でも、きっと――……。
奈緒の頭は、せっかちにもそんな想像を繰り広げる。
「インドは言葉も文化も全く違うよ」
「うん」
「食文化だって、全然違う」
「わかってる」
「衛生面も、やっぱり日本よりは劣ってるし……」
「……うん」
「治安だって良くないかもしれない」
「……そうだね……」
「あ、それにね――」
「樹」
樹の言葉を遮り、奈緒は強く彼を呼んだ。



