浮気女の嫁入り大作戦


 きれいな花嫁にそう言われて、奈緒はまた己の夢を打ち砕かれた気がした。

「まあ、ね」

「気持ちはわかるけど、幸せになることとは別物なんだから」

「わかってる。真由美、今すごく幸せそうだもん」

 真由美はふふっと笑い、幸せオーラ満開で次のテーブルへと移って行った。

 奈緒にとって、感動的なプロポーズは昔からの夢だった。

 男に期待してはいけないと言われるようになったこの時代に、どちらかといえば古風な考えなのかもしれない。

 感動的なプロポーズはなくともあんなに幸せそうな友の姿を見て、奈緒は自分自身を奮い立たせる。

 嫁入り作戦、路線変更。

 逆プロポーズだ。

「樹……結婚してください」

 遠くにいる樹に小声でプロポーズしてみると、とことん虚しくなった。

 しかし奈緒の気持ちとは裏腹に、真由美の挙式はとても感動的だった。