浮気女の嫁入り大作戦


 沢田は煙を深く吸い、深く吐いた。

 もわっと広がった煙が花枝にかからないよう、気持ちだけふうっと吹いてみるが効果はない。

「俺さ」

「あのね」

 二人が言葉を発したのは同時だった。

「何?」

「何よ?」

 これも同時だ。

「沢田くんから言ってよ」

「やだ、毎熊さんから言って」

 数秒の沈黙の後、奈緒がタバコを灰皿に押し付けながら観念した。

「彼氏が、出張だって」

「出張?」

「そう。今日から一週間、インドに」

 沢田は少し考えるように黙り、煙を吐いた。

 そして数秒後、

「急だな。そして遠いな」

「でしょ? まあ、それだけ。沢田くんは?」