浮気女の嫁入り大作戦


 二人はこの日もいつもと同じように都心へと出向くため、首都高速を走る。

 だんだん雲行きが怪しくなってきた。

 6月は雨の季節だ。

 この様子じゃ、夜には降り出すだろう。

「ねえ、樹。ネイルいつもより可愛くしたの」

 彼は運転中だというのに、奈緒はネイルを樹に見せる。

 樹はチラッと見て、すぐに前へ視線を戻した。

「いつもよりキラキラしてるね」

「来週の土曜、友達の結婚式なの。だからちょっと気合い入れてみた」

「はは、そっか」

「ねえ、インドから帰るのはいつ?」

「日曜日の昼だよ」

「ほんと? じゃああたし、成田まで迎えに行こうかな」

 樹はまた苦笑いをして、奈緒の手を握る。

 今日は苦笑いばかりだ。

 インド人とは裏腹に。