俺と奈緒の意思が混ざり合い、結果的に樹という恋人がありながら沢田と浮気をするという形になった。
奈緒は元々浮気者であったし、欲に弱く自分に甘い。
相手が鈍感で干渉をしない樹と、やや気の弱い沢田であるからこそこの関係を続けてこられたのだ。
そのバランスが崩れれば、そう、例えばこんな風に沢田に無理に迫られたりすれば……。
もうこの二年間のように都合良くはいかない。
「沢田くん……!」
奈緒は抵抗できず、沢田の思うがままにされている。
いつもなら、もう駅で手を振っている時間だ。
「何で抵抗しないの? 彼氏、来るんでしょ?」
「自分にもわかんないよ」
「イヤって言えば、俺やめるよ」
奈緒は言葉を発そうとしたが、結局何も言えずに嬌声を漏らすだけだった。



