迷宮の魂

 芳子は早速、新宿のキャバクラに勤め始めた。

 勤め始めた芳子の評判は良く、客前ではおっとりとした感じで接するものだから、キャバ嬢らしくないところが新鮮に思われたのだろう。また、スタッフ受けも良く、マネージャーなども、これは掘り出し物かもしれないと、何かと目を掛けてくれた。

 入店から一ヶ月、一度も休まずオープンからラスト迄の時間働いた。そんな芳子を見て、和也は無理するなと何度か言ったが、その度に、

「大丈夫、この間までしてた仕事を思おうたら、全然、苦にならへん。お給料貯めて、あんたが戻って来た時には、ちゃんとお店をオープンさせなあかんもん」

 と明るく答えた。

 こいつとなら、もう一度生まれ変われる……

 出逢えて本当に良かったと、心の奥底から思った。