三日間の八丈島出張を終えて捜査本部に顔を出した前嶋を待っていたのは、津田遥に関する新情報だった。
蕨署に覚醒剤事犯で逮捕されていた野間博の証言を基に調べたところ、つい最近になって津田遥に覚醒剤を売った売人の名前が判った。
売人の名前は高瀬亮司。元暴力団員で覚醒剤の使用、所持等で過去二度刑務所に務めている。暴行傷害での逮捕歴もあって、年齢は37歳。住民票は都内になっているが、そこに住んでいる気配は無い。
暴力団員当時の高瀬亮司をよく知る暴犯(組織暴力犯罪捜査課)担当の刑事に聞いたところ、高瀬は覚醒剤の売人と言っても、単なる小売屋という末端の更にその末端の売人で、自分の使う分を仕入れたいが為に、小口の売をちまちまとやっているチンピラらしい。
「やくざとしての才覚も無いから、兄貴分からも見放された奴ですよ。根が小心者のくせに、人一倍見栄っ張りで、シャブと女にしか興味の無いクズです」
暴犯担当刑事の言葉が、高瀬亮司の人物像を端的に表していた。
野間博の証言によれば、8月初旬に偶然新宿の歌舞伎町で会い、その時に、
「丁度いいところで会った。ネタ、あったら回して貰えないか」
と言われたという。
どれ位要るのだと訊くと、
「あんたも知ってる女なんだけど、そいつが欲しいって言ってるんだ。金は持ってるから、モノがあれば幾らでも買うんじゃねえか」
と答え、女の名前を訊ねると、津田遥だと言ったそうだ。それで、その日のうちにグラム(1g)のパケ(1袋)を三つ渡し、代金として六万円を貰ったとの事らしい。
全部を津田遥に売ったかどうかは判らないが、恐らくそれを倍位の値段で捌いた筈だと野間は言った。
津田遥の検死報告書には、最近まで覚醒剤を使用していた形跡があった。これが事件とどう結びつくかは、今のところ皆目見当が付かない。
佐多和也自身には、これまでの犯歴や交友関係からは、覚醒剤の欠片も窺えない。
高瀬亮司が事件に関係している可能性は、現状ではかなり薄い。が、津田遥が殺される直前まで接していた可能性は捨て切れない。ひょっとしたら、佐多和也と接触した可能性があるかも知れない。
蕨署に覚醒剤事犯で逮捕されていた野間博の証言を基に調べたところ、つい最近になって津田遥に覚醒剤を売った売人の名前が判った。
売人の名前は高瀬亮司。元暴力団員で覚醒剤の使用、所持等で過去二度刑務所に務めている。暴行傷害での逮捕歴もあって、年齢は37歳。住民票は都内になっているが、そこに住んでいる気配は無い。
暴力団員当時の高瀬亮司をよく知る暴犯(組織暴力犯罪捜査課)担当の刑事に聞いたところ、高瀬は覚醒剤の売人と言っても、単なる小売屋という末端の更にその末端の売人で、自分の使う分を仕入れたいが為に、小口の売をちまちまとやっているチンピラらしい。
「やくざとしての才覚も無いから、兄貴分からも見放された奴ですよ。根が小心者のくせに、人一倍見栄っ張りで、シャブと女にしか興味の無いクズです」
暴犯担当刑事の言葉が、高瀬亮司の人物像を端的に表していた。
野間博の証言によれば、8月初旬に偶然新宿の歌舞伎町で会い、その時に、
「丁度いいところで会った。ネタ、あったら回して貰えないか」
と言われたという。
どれ位要るのだと訊くと、
「あんたも知ってる女なんだけど、そいつが欲しいって言ってるんだ。金は持ってるから、モノがあれば幾らでも買うんじゃねえか」
と答え、女の名前を訊ねると、津田遥だと言ったそうだ。それで、その日のうちにグラム(1g)のパケ(1袋)を三つ渡し、代金として六万円を貰ったとの事らしい。
全部を津田遥に売ったかどうかは判らないが、恐らくそれを倍位の値段で捌いた筈だと野間は言った。
津田遥の検死報告書には、最近まで覚醒剤を使用していた形跡があった。これが事件とどう結びつくかは、今のところ皆目見当が付かない。
佐多和也自身には、これまでの犯歴や交友関係からは、覚醒剤の欠片も窺えない。
高瀬亮司が事件に関係している可能性は、現状ではかなり薄い。が、津田遥が殺される直前まで接していた可能性は捨て切れない。ひょっとしたら、佐多和也と接触した可能性があるかも知れない。



