アルバムから一枚の写真を抜いて前嶋の前に差し出した。
そこには五人の女が写っていた。そして、それを見た三人は同時にあっ、と心の中で叫んだ。
「岩田さん、この写真は何枚位現像されましたか?」
「ええと、写っている子達の分とこの一枚を入れて、六枚です」
目の前にある写真は、ガイシャの遺留品であるバックから発見された写真と同一のものだった。
「伺いますが、貴方の知ってらっしゃる小野美幸はどの子でしょう」
彼は迷う事無く指を指した。指し示された女は、左から二人目に写っていた。
「では、貴方が津田遥だと仰る女性は?」
その女は最初に指し示した女の右隣に写っていた。
荻窪のアパートで死体となって発見された女である。
「間違いありませんか?」
横から三山刑事が口を挟んだ。加藤刑事が苦々しく三山を見た。
「はい……」
三山の聞き方が、まるで責めるような口調に感じたのか、勝巳は急に声を細めた。前嶋が、彼の気持ちを解そうと、
「みんな若くてきれいですな。こんな子達に囲まれて飲んだら、さぞかし酒も美味しいもんでしょう」
と、話を一旦自分から逸らした。勝巳は、ええ、と頷き、
「エリーは島でも一番流行ってた店なんですよ。年中。若い子がバイトで来てましたから、それ目当てで島のもんが行くわけです」
「なるほど。岩田さんも馴染みというわけですな」
「うちが酒とか卸してる関係もありましたけど、まあ、そんな感じです」
「じゃあ、割と足繁く通われたと」
「他の店にも付き合いで顔を出したりしてましたから、毎日というわけではありませんが」
勝巳の話では、だいたい週の半分は行っていたらしい。それも、小野美幸が来てからはほぼ毎晩になったようだ。



