アリスとウサギ


 アリスが潰れたことなんてお構いなしに曲が流れる。

 素人の下手な歌は、しばらく頭をビリビリと刺激した。

 みんなが盛り上がる声がだんだん遠くなっていく。

 ウサギの笑い声が聞こえたところで、アリスは意識を手放した――。




 ふと目覚める。

 一眠りしたからか、酔いはかなりスッキリとしていた。

 カラオケは静かにバラードが流れていた。

 見渡してみると、潰れて眠っている人もいる。

 そして、ウサギの姿はなくなっていた。

 女のところにでも行ったのだろうか。

 酔いも覚め、アリスは誰かが歌うバラードに乗せて自分の言動を振り返る。

 ムキになった勢いとは言え、ウサギが好きだと告白してしまった。

 どちらが振ったのかは微妙な感じだったが、二人は恋人同士にはならなかった。

「アリス、起きた? 何か歌ってよ」

 そう言ってきた女子にリモコンを渡され、アリスは失恋ソングを歌った。

 たっぷりと気持ちを込めて。