「アリスがそれを望むなら、俺はこれ以上何もしないよ」
ウサギはアリスの気持ちなんてお構いなしの表情でタバコに火をつける。
香ばしい煙がアリスの鼻をくすぐった。
こんな不純な恋、とっとと忘れるんだ。
「じゃあね」
まだ宴は途中だというのに、アリスはウサギに軽く別れの言葉を告げ、席を移動した。
正直なところ少し期待していた。
忘れさせて、という要望に、そんなこというなよ、とか言われることを。
あっさり引き下がったウサギには、きっとそれもお見通しだったのかもしれない。
その上で、身を引いた。
去る者追わずの精神。
アリスは他のメンバーとの交流に精を出す。
チラリともウサギを振り返ることなく。
しかし意識は彼に向いたままで、時折聞こえる彼の笑い声に胸が痛んだ。
忘れるまでにどれほどの時間がかかるのか……予想は付かない。



