アリスとウサギ


 アリスはウサギ並みにグビグビとカシスソーダを飲み干し、おかわりをオーダーするように依頼した。

 惚れているのは事実だが、愛しさのようなものは生まれないという不思議な感覚。

 悔しさとか怒りとか、そういう感情が高まっていった。

「ウサギのことが好きなのは認める」

「認めなくても知ってるよ」

「でも、別にやりたいとか思ってないし、付き合いたいとも思わないし、すぐに忘れたいって思ってるもん」

 一気に飲み干してしまったからか、モワッと酒が回る。

 それでも変な気は起こさないように、意識だけはしっかり持とうとした。

「楽にしてやるのに」

「バーカ。あんたと関わったら傷つくだけなのよ」

 吐き捨てるように言うと、ウサギは「おっ」という顔をした。

「さすが女子大生。賢いね」

「だからもうできるだけあたしに関わらないで。静かに忘れさせてよ」

 搾り出すような声だった。

 それほど切にそう願った。