アリスとウサギ


「ナルシスト過ぎ」

 せめてもの悪態を発せば、ウサギはそれをも楽しむようにライムサワーを豪快に飲む。

 喉ぼとけが大きく動き、アリスはそこに目が行った。

「ナルシストにしてくれてんのは奈々子だよ?」

「はあ……?」

「今、俺の喉見てたでしょ」

 視線まで言い当てられ、アリスは口をつぐんだ。

 それが肯定の意味を成すことには気付いていながら。

「喉ぼとけを見るのはエロい女か欲求不満の女。だから奈々子は今、俺とやりたくて仕方がない……はず」

 指の甲で頬杖をつく彼の、舐めるような視線に体は疼く。

 彼の言っていることは、おおかた正しい。

 セリフから想像できる官能的なシーンに、先日の悔しさと恥ずかしさをぶり返した。

「バカじゃないの? 名前で呼ばないで」

「名前で呼ぶとキュンとしちゃうから?」

 そんなところまで読み取っているのか。