アリスとウサギ


「この間の女の人、キレイな人だったね」

 アリスは暗に皮肉を込めてこう言った。

 愛羅と呼ばれたあの女が、アリスはどうも気に入らなかった。

 見た目は確かにキレイだったが、どうも見下されている気がしたのだ。

 ウサギはドリンクメニューを眺めながら答える。

「そうか? スッピンは別人だぞ」

「ふーん。スッピンを見れるような関係なんだ」

 これは、僻み。

 彼女の見た目と、ウサギと特別な関係であることに対する。

 アリスが感じるのは劣等感だけなのだ。

「まーね。アリスのスッピンも見たかったなぁ」

 この女ったらしは性懲りもなくアリスの頬に触れようとする。

「何考えてんのよ。みんなの前で」

 そう言って手を払いのけると、横から酔っ払いの冷やかしが入った。

「ウサギィ。いくらアリスが好みでもメンバーに手ぇ出すなよ」

 グラス片手に真っ赤な顔をしてウサギの肩を掴んだ男子。

 彼の大きな声に、周りも反応する。