アリスとウサギ


 自分の体をチェックし始めた瞬間、アリスはとうとう声を上げた。

「ええぇぇっ?」

 その声で、ウサギも当然目を覚ます。

 しまった! と思っても時すでに遅し。

 アリスは逃げる道を失ってしまった。

「ん……どうしたんだよ、朝っぱらから」

 焦っているアリスにお構いなしで、ウサギは寝転がったまま彼女の腰に腕を回し、抱きつく格好で再び目を閉じた。

 その時、彼の左肩胛骨付近に何か藍色の模様のようなものが見えた。

 刺青だ。

 そんなもの今はどうだっていい。

「ちょっと、ウサギ!」

「んー?」

 アリスは腰に回された腕を引き剥がして問いかける。

「あんた、あたしに何したの?」

「パソコンとベッド貸した……」

「そうじゃなくて。どうして……ブラのホックが外れてんのかってことよ」