アリスとウサギ


 眠りに落ちるのに、そう時間はかからなかった。

 体感時間は、ほんの一瞬。

 アリスはアラームが鳴る前に目覚めることができた。

 しかし、何かがおかしい。

 まだ完全に夢から抜け出せない頭をできるだけ働かせてみる。

 部屋が、少し明るい。

 体の右側が、重い。

 そして、右手に触れているものは何だろう。

 すべすべで、しっとり。

 さらに頭上で何かスースー聞こえるような……。

 虚ろだった目を、しっかりと開いてみた。

 目の前は真っ暗。

 音のする頭上に視線を移してみる。

 額に何かふさふさしたものが触れた。

 アリスはここでやっと自分の現状を把握する。

 驚きのあまり、声を出すこともできなかった。

 目の前にある物体は紛れもなく、ウサギ。

 上半身裸の、ウサギ。