アリスとウサギ


 アリスは力の入らない手でポカポカとウサギの胸を叩いた。

「何すんのよ! 誰が続きなんてするか!」

 顔は真っ赤、そして涙目になっている。

 ウサギはそれを面白がるようにニヤニヤと笑った。

「かわいいよ、奈々子」

 不覚にも奈々子と呼ばれたことにときめいてしまう。

「名前で呼ぶな! さっさと仕事に行ってしまえホスト野郎!」

 アリスのその反応に、彼はゲラゲラと笑った。

 叩いていた手はいつの間にか両方とも掴まれている。

「だからホストじゃねえって」

 とウサギは楽しそうに言う。

「俺の仕事、続きしながらじっくり教えてあげるよ」

「もう知らなくていいし!」

「ええー? せっかくここまで来たのに?」

「じゃあもう帰るー!」

 恥ずかしいやら悔しいやら腹立たしいやらで、アリスの顔はますます赤くなる。