アリスとウサギ


 そう言ってウサギは一度寝室を出て行った。

 一人残されたアリスは、立ち上がったPCにメモリを挿し、準備を始める。

 ほんとあいつ、何者なのよ。

 やっぱホストね。

 女騙していっぱい稼いで、だからこんなとこに住んでるんだ。

 そんなことを思いながら作業を開始。

 誤字脱字の多いレポートの修正からだった。

 ガタゴト音がしたり、洗面台のほうから水の音がしたり、ウサギは仕事へ向かう準備をしているようだ。

 この間の飲み会のときは9時過ぎまで一緒にいたのに、今日は早く出かけるんだな。

 ホストにもシフトのようなものがあるのだろうか。

 レポートの誤字を探していても、気付けばウサギのことばかり考えてしまう。

 あまりにも謎が多くて、しかも、その謎は一つも解けない。

 気になる、気になる……。

「アリス」

 急に後ろから声をかけられ、アリスはビクッと体を震わせた。