アリスとウサギ


「一人で住んでるんだよね?」

「そうだよ」

 ウサギは荷物をリビングに放って、ダイニングの横の扉を開けた。

 そこはやっぱり寝室で、PCは扉の正面奥にあった。

 ノートではなく、デスクトップ型のものだ。

 中に入ると右手にダブルのベッドがずっしりと置いてあり、シーツなどはトーンの異なるグレーで統一されている。

 掛け布団はクシャッと片方に寄っていて、今朝までここに女がいたんだと思うと、少しだけ嫌悪感を覚えた。

 彼はPCの電源を入れ、椅子を引く。

 そしてアリスの肩を押し、座らせた。

「自由に使っていいから。喉が渇いたら冷蔵庫漁っていいし、お湯沸かしてコーヒー入れてもいいし。あ、でもグラスは洗ってもらえると助かる」

「うん」

「そして、これが鍵」

 カチッとPCデスクに置かれたキー。

「明日初ゼミの時にでも返してくれればいいから」