人と人が繋がるのに、名前は大きな役割を果たしている。

 今では親友と言い合える早苗とは、荒木と有栖川で学籍番号が近いのがきっかけで友達になった。

 そしてウサギの流暢な英語を聞けたのも、同じ「あ行」で学籍番号が近く、たまたま必修の講義を同じ教室で受けられたからなのだ。



 アリスがウサギの声にしか惚れなかったのには理由がある。

 それは、アリスが

「ウサギ君ってちょっと良くない?」

 と、早苗に漏らした日のこと。

「だまされちゃダメよ!」

 と、早苗は血相を変えてアリスを揺さぶった。

「夜な夜なネオン街で飲み歩いて、毎晩違う女持ち帰ってるって有名じゃない」

 アリスはそれまでこのような噂は聞いたことがなかったが、その後意識的に耳を傾けていると、どうやら嘘ではないらしい。

 男は尊敬、女は軽蔑の眼差しを向ける。

 そんな存在。