もしかしたらボロボロに言いやられて帰ってくるんじゃないかとか、この上なく不機嫌な顔をして帰ってくるのではないか、なんて思っていた自分がバカみたい。

 どんな話し合いが行われたのかは知らないが、ウサギと父ウサギはそれぞれ左頬が少しだけ腫れている。

 きっと最中は凄まじかったのだろう。

 でも、その結果が今の状況なら、結果オーライ。

 安心したら急にウサギを抱きしめたくなった。

 三人のやり取りや今まで不安になっていた自分がなんだかおかしくなってきて、カクテルをチビチビ飲みながらクスクス笑った。

「心配することなかったみたいね」

 アヤの言葉にはいと頷く。

 その横でウサギファミリーはやっぱり文句を言い合いながら盛り上がっていた。

「女を泣かせたらいかんよ」

「お前が言うな。色々聞いてんだぞ」

「ゴホッゴホッ」

「啓介、それどういう意味?」

「兄貴は知らなくていい」

 アリスは家族と笑っているウサギの顔を見て、しみじみと幸せを感じた。