アリスとウサギ


 意外なウサギの行動が愛しくてキュッと腕を締める。

「自棄になって別の女抱いても虚しかった。仕事してお前のいない部屋に帰るのが辛かった。だけどお前を前にすると、いつも意地張りたくなるんだ」

 アリスは無言で目を閉じる。

 ポロリと両目から一粒ずつ涙が流れた。

 ウサギの鼓動と、震えた声だけが耳に入ってくる。

 ただ、聞きたい言葉はなかなか聞けない。

 意地を張りたいのは、アリスも一緒。

「回りくどいのよ、もう。ハッキリ言って」

 もう疲れた。

 だから、きっかけをちょうだいよ。

 あんたの隣に戻る、きっかけを。

 ウサギは少しだけ腕を緩め、アリスの顔を自分の方に向けた。

「どうしてもお前だけは諦められない」

「うん」

「どうしようもなく、好き、なん、です」

 不器用な告白が、逆に心地良かった。

「うん、あたしも」