アリスとウサギ


「何よ?」

 言い止めたウサギを責めるように突くと、参ったといった感じに背中を向けた。

 アリスは更に責める。

「ちゃんと言いなさいよ。このヘタレ!」

「んだと、コラ」

 振り向いたウサギは言葉の割りに弱気な顔をしていた。

「ホントのことじゃない。言いたいことがあるならハッキリ言えばいいのよ。男のくせに、何でそんなに女々しいの?」

 ウサギは悔しそうな顔をしてぐっと歯を食いしばる。

 数秒の沈黙。

 二人は同時に体の力を抜いた。

 そして、

「ほんっとお前、マジムカつく」

 ウサギは拗ねたようにソファーに座った。

「ムカついてんのはあたしの方よ」

「だーっ! もう、わかってんだよ。俺がヘタレなのも女々しいのも。ただなぁ――」

 ウサギはアリスの腕を掴み、思いっきり引っ張った。

「――ヘタレんのも女々しくなんのも、お前の前だけだ」