アリスとウサギ


 ウサギは真剣な顔をしていた。

 それが嘘じゃないからって、どうなるというのか。

 愛羅を抱いたことに変わりはないのに。

「そんな気になれないんだよ。俺なのに、おかしいだろ?」

「おかしいね」

「お前のせいだからな」

 どういう意味でそう言っているのか。

 アリスはわかっていないわけではない。

 ただ、素直になりたくないだけだ。

「人のせいにしないでよ」

 カップを置いて不機嫌にそう言うと、ウサギはスクッと立ち上がった。

 そして大きくため息をつき、アリスの前に立ちはだかる。

「わかってて言ってんの?」

 体を折り、顔がぐっと近づいた。

「は?」

「どうしたいんだよ、お前は」

「何が?」

「俺のこと、まだ好きなくせに」

「……っ、あんたねぇっ!」

「俺だってな……!」

 まただ。

 ウサギの悪い癖。

 大事なことは、ちゃんと言わない。