「問題が、山積み?」
「はい」
何となく、感じ取れる。
家族はいないと言っていることから、家庭がうまく行っていないことは嫌でもわかる。
会社を継ぐということは、経営している店だって問題になるだろうし。
熊谷はカップをソーサーに置き、再び語りだした。
兄の浩介さんは非常に品行方正な方でした。
成績も優秀で、ご両親の言うこともよく聞く、いい子です。
一方弟の啓介さんは、非常に反抗的というか……。
いや、そうなるのは仕方のないことだったのかもしれませんが。
現社長は優秀な浩介さんばかりを可愛がり、啓介さんも成績は優秀ですが、私の目から見ても見放しているように感じておりましたので。
少年時代も、早い段階で「家を出たい」と強く願っていたようです。
ですから高校は日本を離れて海外のスクールを選択されました。
アメリカで三年、どのように過ごしていたかは私にもわかりません。
卒業まで一度も日本に戻ることはありませんでしたし、ご家族も彼を訪れることはありませんでした。



