「それで、どうしてそこまでして彼を調べてるんですか?」
核心に触れた瞬間、熊谷の顔がよりシリアスになった。
息を飲み、負けないように体に力を込める。
「これからお話しすることは、内密にお願いします。当社の信用に関わりますので。よろしいですね?」
アリスはこくりと頷いた。
わがUT建設は先代の社長、啓介さんの祖父にあたる方が設立しました。
現社長、つまり啓介さんのお父上が引き継いでからも、緩やかな成長を続けています。
しかし、今、危機に陥っているのです。
会社も宇佐木家も、これまで啓介さんの兄、浩介さんが後を引き継ぐ方向で動いていました。
もう半年前になりますか。
浩介さんが、失踪したんですよ。
しかもなかなか見つけることが出来ない。
そこで急遽、啓介さんに後を継いでもらえないかと。
その交渉をする予定なのですが、啓介さんに関しては問題が山積みなんです。
淡々と語る熊谷は、ここまで話してコーヒーをブラックのまますすった。



