アリスとウサギ


 彼が来たということは、ウサギ関係であることはわかっていた。

 けれど。

「あの、私たちもう関係ないんです」

 アリスの一言に、熊谷は眉間にしわを寄せる。

 アリスの名前や住所は調べをつけていても、二人が別れていることは知らなかったらしい。

「そうですか……。ご自宅に戻られていないようなので、てっきり有栖川さんのお宅にいらっしゃると思ったのですがね」

 熊谷は再びメガネを上げて、小さくため息をついた。

 自宅に戻っていない?

 女の部屋だろうか。

 というより、そもそもなぜ自分のことまで調べられているのか。

 何かに巻き込まれていることは間違いない。

 アリスは勇気を出して彼に強い視線を送った。

「あの、彼に一体何が起こってるんですか?」

「申し上げられません」

「私のこと調べ上げられてるのに……巻き込まれているのに、それでは納得いきませんよ」

 熊谷は無表情のまま数秒黙り、

「わかりました」

 と頷いた。