アリスとウサギ


 盛り上がる向こうの席。

「アリス、愛してるよ~」

 なんて酔っぱらいの軽い愛の叫びを苦笑いでかわし、アリスは静かにグラスを空けた。




 忘年会が終わり居酒屋を出ると外はキンキンに冷えていた。

 井上教授はタクシーで帰宅し、二次会はどうするかの相談を寒空の下で行う。

 アリスは話し合いの枠から外れ、結果に委ねるスタンスを見せる。

 それはウサギも同じらしい。

 昼間は日が出て暖かかったため、冬の割には薄着してしまった。

 アリスは染み込んでくる冷気に耐えながら、

「クシュン!」

 とくしゃみを放つ。

 同時に同じような音が聞こえたと思ったら、グスッと鼻をすすったのはウサギだった。

「真似しないでよ」

「お前こそ」

 寒いから二次会でも何でも早く決めてほしい。

 ぶるっと体を震わせると、ふわりと暖かいものに包まれる感触がした。

「もっとちゃんと着てこい」