アリスとウサギ




 数日後、12月も始まり冷たい雨風がしとしとと枯れ木を濡らす。

 アリスは講堂で二限の講義開始を待っていた。

「おはよう、アリス」

 早苗の笑顔に笑顔で応えていると、見覚えのある顎髭男が入室するのが見えた。

 途端にアリスの心が凍る。

 どんな顔をすればいいというのか。

 どう接すればいいというのか。

 同じ大学で同じ学部の同じ二年生。

 顔を合わせたくなくても講義が重なることは避けられない。

 察した早苗が通路側に着席。

 二人はウサギの動向を意識しながら顔を合わせた。

 ウサギは相変わらず眠そうな顔をしてゆっくりと歩く。

 そして、迷わずアリスたちの座った席に通じる通路に入った。

 気まずい……とか思わないのだろうか。

 二人の目はしっかりと通じ合っている。

 目を逸らせない。

 そしていよいよアリスの座る席を通過しようという時、ウサギはふと微笑んだ。