アリスとウサギ


 ウサギは複数の女と遊んでいる方が似合ってる。

 夜は酒を飲みながら仕事して、終わったら女を引っかけ持ち帰る。

 昼は疲れた顔をしながら講義を受けて、良く出来たレポートを出す。

 そしてまた夜になったらスーツを着て仕事。

 そんな不健康な生活が似合ってる。

 これでいいんだ。

 本来の道に帰っていっただけなんだ。

 ウサギはあたしのことなんかさっさと忘れて、また酒と女と金のことだけ考えて生きていけばいい。

 だから――……。

 もう二度と、必要以上に関わらないで。

 他の女を抱いたその手で触れないで。

 そして、絶対に「奈々子」と呼ばないで――……。



 アリスは自分の部屋に帰るなり、換気扇下の吸い殻を灰皿ごとゴミ箱に突っ込み、袋の口を縛って収集所に持っていった。

 灰皿は取っておこうか悩んだが、ウサギが店から持ってきた灰皿なんて、未練が残りそうだから捨てた。