アリスとウサギ




 ガチャッ

 例によって扉が開く音で目を覚ました。

 アリスは起き上がろうとしたが、腹筋に力を込めたところでとどまる。

「やっ……啓介っ……」

 確かに聞こえた、女の声。

「愛羅、もっと口開けて」

「んっ……、ミサって呼んでって言ってるじゃない」

「どっちだっていいだろ」

 浅はかだった。

 アリスから開放されたウサギの取る行動なんて、簡単に予想できたはずなのに。

 アリスは起き上がるにも起き上がれなくなってしまった。

「待って。まだシャワー浴びてない」

「いいよ、そんなの」

 夜中なのにバタバタと音を立てている。

 玄関に靴を置いていたが、アリスには気付いていないようだ。

 明かりもテレビも消してしまったのが失敗だった。

 二人はアリスがいるリビングに唇が触れ合う音を響かせ、寝室へと入っていった――。