アリスとウサギ


 アリスは励ますように自分に言い聞かせる。

 ウサギと付き合ったところで不幸になるのはわかってたじゃない。

 自分が一番になれないのも、何となく予想がついてたじゃない。

 こういう形で別れを迎えることになるとは思っていなかったけど、いずれにしろ長続きはしないって、予想はついてたじゃない。

 ……と。

 だけど、一緒にいる間に、

「もしかしたらちゃんとあたしのこと見てくれてるのかも」

「あたしが一番なのかも」

 そう思うようになっていた。

 心のどこかで期待してた。

「やーね、あたしったら。あいつに期待なんてしちゃいけなかったのに」

 自嘲の声にPCの機械音が反応したような気がした。

 性懲りもなく、もしかしたら話してくれるんじゃないかって期待して。

 あっさり出て行ったウサギを思うと、無償に切ない。

 やっぱりあたしには彼女なんて務まらなかった。

 冷たい指に息を吹きかけると、少し暖まってまたすぐに冷たくなった。