アリスは鍵を握ったままノートPCを開く。
ネットの画面を開いたままにしていたのだ。
UT建設のホームページ。
会社概要の一部にはこう書かれている。
代表取締役社長
宇佐木 雄介
関係ないなんて、通用するわけがない。
ごく高い確率で、ウサギはここの御曹司だ。
そんなことはどうでもいい。
アリスの心に引っかかっているのは、自分は知らないのにアヤは知っているということ。
ホストになった理由。
一度大学を辞めた理由。
店を始めた理由。
アヤはきっとそれらも知っている。
ウサギのことなら大概のことは知っているのだ。
アヤ以上の存在になれなかった悔しさがアリスの胸をキリキリと痛めつける。
もっと信用してほしかったのに。
頼ってほしかったのに。
力になれたかはわからないけれど。
鍵を握りしめると涙が止まらなくなった。



