アリスとウサギ


 ……なのに、部外者だなんて。

 声は無情にも鼻声になってしまい、最後まで言葉を繋げられなかった。

 涙を堪えていることもきっとバレているに違いない。

 こんな女、面倒くさいって思っているかもしれない。

 だけど、まだまだ言わずにはいられなかった。

「あたし、これ以上あんたに近づけないの?」

「何言ってんだよ。いつも一緒にいるだろ」

「そういう意味じゃない」

 ウサギは強く頭を掻いて大袈裟にため息をついた。

 手で脚を打った音に混じって、カシャッと腕時計がずれる音がした。

 彼も相当苛立っている。

「俺にどうしろって言うんだよ」

「……帰って」

 アリスは寝返りを打ち、彼に背を向けた。

「それ、どういう意味?」

「あたしたち、所詮張りぼてのカップルなのよ。これ以上一緒にいたって意味ないじゃない」

「……奈々子」

 ウサギの手が肩に触れたが、アリスは振り返らなかった。