「驚かせてすみません。私こういう者です」
慣れた手つきで差し出された名刺には、
UT建設株式会社
社長秘書
熊谷 治夫
と書かれている。
30代後半くらいで、黒髪はサラリーマンらしくセットされている。
やや日に焼けた肌に銀縁のメガネが、やり手の雰囲気を醸し出していた。
「啓介さんをお訪ねしたかったのですが、いらっしゃらないようなので……、お家のことでまた来ると伝えていただけますか?」
「は、はぁ……」
「では、失礼します」
きっちりお辞儀をした男、熊谷は、颯爽と歩いて去っていってしまった。
アリスの頭はハテナだらけだ。
UT建設という会社はこの辺では有名な建設会社。
しかし、この会社がウサギとどういう関係があるというのか。
夜の店の経営者だから、様々な可能性が考えられる。



