アリスとウサギ


「いらっしゃいませ」

 迎えるためにホールへ出ると、見たことのある派手な女が二人。

 キレイにセットされた髪に、上下の付けまつげ。

 カラーコンタクトの目は、明らかにアリスを意識している。

 そう、すごく嫌な表情をしている。

 片方は昨日インターホンの画面に映っていた女。

 もう片方は最初にウサギが連れてきた女だ。

「おタバコ吸われますか?」

「吸います」

「喫煙席はこちらです。お好きな席へどうぞ」

 二人はいつもウサギが座っていた席に腰を下ろした。

 アリスがお冷を持っていくと、二人は強い視線を向ける。

 視線が痛いとは、このことを言うのだと実感した。

 二人が来た目的は想像できる。

 単に食事をしに来たのではなさそうだ。

 ウサギの彼女である自分を見に来たのだろう。

「ごゆっくりどうぞ」

 このバイトを始めて、初めて心からそう思えなかった。