アリスとウサギ




「へえ、ホントに意外ね」

 この日は午後からの講義。

 何もされなかったことを報告すると、早苗は目を丸くしていた。

「でしょ。なんか拍子抜け」

「大事にされてんじゃないの。それとも期待してた?」

「別にそういうわけじゃないけど」

 今朝のウサギは今までに感じたことがないほど「癒し系」だった。

 まったりしてて、温かくて。

 今日はバイトがあることを伝えるとしゅんとしてみたり。

「仕事が終わったら迎えに行く」

 とか言ってみたり。

 これまでの彼はピリピリと何かオーラというよりは光線のようなものを放っており、温かいを通り越して火傷をするほど熱く感じていたのに。

 単純に眠かったからだろうか。

 それともそれが彼の素顔なのだろうか。

 確かに早苗の言うとおり、大事にされている気がしないでもない。