アリスとウサギ


 翌朝、アリスは携帯の着信音で目を覚ました。

 鳴ったのはウサギの携帯。

 目の前でもそもそと何かが動く。

 ウサギだ。

 着信音は止まり、目覚めの低いハスキーボイスが響く。

「何だよ、朝っぱらから……」

 背を向けているウサギ。

 うっすら目を開けると、目の前に刺青が見えた。

 この花はどうやら牡丹のようだ。

「はぁ? 知るかよ、お前の生活リズムなんて」

 アリスは布団にくるまったまま黙って耳をこらす。

「ああ、クロスのマヤだろ? 昨日バーに乗り込んできたよ」

「いや、まさかお前にまで探りが行ってるとは想定外だった」

「愛羅? サユミ? アキナ? ハナ? いや、誰にも言ってねーよ。あるとすれば、ルイだな。昨日偶然会った」

「いや、マヤとは一回だけしかヤッてねぇ。よく店には来るけど」

 詳しくはわからないが、朝っぱらから女の話題と来た。

 目覚めの悪い朝だ。