アリスとウサギ


「何が変なのよ」

「アリスがさ、俺の彼女で。飯とか作ってくれて。見送りとかしてくれて」

「あたしだって、何で自分がこんなことしてるのか不思議だけど」

「だろ? だけど、悪くないね。こういうの」

 ニッと照れを含んだ笑みを見せて、ウサギはドアを開けた。

 外はもう真っ暗で、ネオン街もそろそろ賑わい始める時間。

 そしてドアを閉める直前、

「帰ったらいなかったとか、無しだからな」

 ちょっと切ない顔をして、ウサギは出かけていった。

 アリスは鍵を閉め、部屋へと戻る。

 一人になったリビングでテレビをつけてみた。

 バラエティ番組が大画面に映るだけで、肉じゃがのなくなったこの部屋も随分庶民的に見えるものだ。

 ウサギと上手く付き合っていけるだろうか。

 女たらしだし、経営者だし。

 結婚だなんて、簡単に口にするし。

 確かにウサギはそういう年かも知れないけど、あたしはまだ二十歳なんだから。