アリスとウサギ


 ギュッとしたままとんでもないことを口走るこの男。

 きっと今までの女にだって……同じこと言ってたんだ。

 アリスは「騙されないぞ」くらいの心構えで応えた。

「結婚するつもり、ないんじゃなかったの?」

「なかったね。特定の女と付き合うつもりもなかったし、俺の人生ひっくり返した責任を取れ」

「何言ってんのよ。あたしのせいじゃないでしょ」

「いや、アリスのせい」

「人のせいにしないでよ。そういうやつがスピード離婚とかしちゃうんだから」

「……そうかなあ……」

 本気でないことを確信しているアリスは、残りの味噌汁をすする。

 ウサギはそれ以上は何も言わず、アリスが食事を終えるまでただ彼女を抱きしめていた。



「じゃー仕事行ってくる」

「うん、いってらっしゃい」

 ウサギの出勤時間、アリスは当たり前のように仕事に行く彼を見送る。

 ウサギはそんなアリスを不思議そうな顔で見た。

「何か、変な感じだな」