ウサギが洗面台で髪型をセットし始めた頃にはジャガイモも煮えた。
あとは盛りつけのみ。
茶碗や皿、お椀などを洗ったり拭いたりしながら気づいていたが、「もらいもの」だと言われたこれらは恐らく高級品。
鑑定士のようにそれがいくらかまではわからないが、百均で購入したアリスの食器とは質の違いは明確だ。
滑らかで、繊細。
指でコンコンすると、ホワン……と響く品の良い音がした。
このダイニングにはテーブルを置いていない。
向こうのリビングまで運ぶ必要がある。
高級な食器を割ってはいけないという意識が働き、テーブルまでの道のりに緊張した。
「できたよー」
洗面所に呼びかけると、ビシッと仕事モードのウサギが袖のボタンを閉めながら入ってきた。
ちょっとカッコイイところがムカつく。
「すげー。家庭料理なんて何年ぶりだろ」
そう言ってウサギはテーブルの前に腰を下ろした。
いただきます、と言ったウサギの笑顔。
アリスにピリッと緊張が走る。



